すっ転びながらテレビの荒野へ（笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考） - 朝日新聞社

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Kejar Tayang |

藤村忠寿（ＨＴＢ「水曜どうでしょう」チーフディレクター）

　6月17日に刊行されるペリー荻野さんの「テレビの荒野を歩いた人たち」（新潮社）の帯文を依頼されました。テレビ創成期に、まだ道と呼べるようなもののない、まさに荒野を歩いた大先輩たちのお話です。原稿を読んで涙が出そうになりました。うれし涙です。

　テレビの先輩たちは道しるべのない大地を、良い意味でいい加減に、でも一生懸命に、雑草だらけの荒れ地をこぐように歩いた。時に走り、思わぬ穴に落ち、石にすっ転び、進んできたと思うと、うれしくなったんです。だからテレビは面白かったんだよなと。そして、うらやましくもなった。僕もそんな時代の荒野をすっ転びながら歩いてみたかったと。

　先輩たちのおかげで荒野にはいくつもの道ができ、後に続いた多くのテレビマンがその道をたどり、道は歩きやすくなり、気がつけばすっ転ぶこともなくなってきました。荒れ地は整地され平坦（へいたん）になり、いつのまにか信号機までできて交通ルールも厳しくなり、わざわざ道を外れて歩こうとするテレビマンはほとんどいなくなりました。

　でもね、僕は先輩たちがまだ歩…

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