テレビが再放送をなかなか本格化できない事情 - 東洋経済オンライン
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制約多く迷う間に「コロナチャンネル化」の一方

視聴者からの熱い要望が集まる中、テレビ関係者の胸中は複雑です(撮影:今井康一、尾形文繁)
テレビ業界にとって4月といえば、新番組が続々とはじまる最大の改編期。例年なら春の到来を祝うような華々しいムードが漂っているものですが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で各局が危機的状況に追い込まれています。
4月に入って各局が報道・情報番組を除くバラエティやドラマの収録休止を発表するなど、重苦しいムードは増す一方。春の目玉となるはずだった新番組は放送の延期が発表され、「特別編」「総集編」の番組が徐々に増えてきました。
そんなテレビ局の苦境を知った世間の人々は、ネット上に「今はスタッフやタレントの命を守るために休むべき」という声を上げ、代替案として名番組の再放送を提案。ツイッターには連日「#再放送希望」ハッシュタグが飛び交い、自分の見たい番組タイトルを挙げて盛り上がっています。その中には、「番宣絡みの再放送ではなく、視聴者が本当に見たいものを」「再放送専門の枠を作ってリクエストを募ってほしい」「ニュースはNHKに任せて民放は全部再放送でいい」などの熱烈な声も多く、待望論は高まる一方です。
これは単純に「再放送を見たい」というだけでなく、「収録で新型コロナウイルスの感染を拡大させないでほしい」という意志表示でもあるだけに、テレビ局にとっては「耳を傾けなければいけない」ことのはず。しかし、現状は既存番組の「特別編」や「総集編」を放送しても、再放送はほとんど行われていません。これにしびれを切らした人々が、「なぜテレビは視聴者の気持ちに応えようとしないのか?」など不満の声を上げはじめているのです。
なぜテレビ局は民意から離れるように、再放送を望む人々の声に応えないのでしょうか。
越えるべきハードルがあまりに多い
現在、各局が新型コロナウイルスの感染拡大に対する対応策として行っているのは、「出演者がソーシャル・ディスタンスを取る」「リモート出演を採り入れてスタジオの人数を減らす」「一部番組の収録を休止する」の3点。まだ再編集作業が不要の再放送番組は、ほとんど放送されていません。
その主な理由は、「まだ収録済のストックが残っているから」であり、バラエティもドラマも「その日の放送を想定して作った番組だから、予定どおり放送しておきたい」のが本音。さらに、すでにストックがない番組は「特別編」「総集編」という形で対応していますが、制作サイドの中には「できれば再放送ではなく、再編集したものにしたい」という気持ちがあるようなのです。
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April 10, 2020 at 09:40AM
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